心から願っています
2人一緒で楽
【依織 Side】
あの後、みんなそれぞれ帰っていった。
私と友秋先輩は中学が同じだから、帰る方向も同じで一緒に帰った。電車で1時間弱かかる。
「依織はさ、いつから俺のこと好きだったの?」
「えーと、気づいたのは中3だけど、多分中2の後半から気になってたと思います。先輩は?」
「俺は、中3くらいかな」
隣に先輩がいる。少しソワソワしてしまって落ち着かない。
少し、というか、かなり信じられない、先輩と付き合えたことが。
「あとさ、俺が理由で高校入ったってほんと?」
「まぁ、はい。あとは、まぁ普通にいい学校だなって思って」
「ふーん」
今なら何でも素直に答えてしまう気がする。
会話が少しぎこちない感じがするけど、しょうがない。
「先輩はもし、今日私が別の『お願い』してたら、どうしてましたか?」
もしかしたら、今こうしていられなかったかも知れない。過去の自分にすごく感謝している。
「そうだな、その『お願い』はまず聞いてたと思うし、告白はまたすることにしてたと思う。」
「じゃあ、私があの『お願い』して大正解だったってことですよね。」
「うん。」
さっきから口角が上がりっぱなしだ。
今まで先輩と話せるだけで幸せを感じていたのに、先輩の彼女だなんて、幸せすぎて、改めて考えると、明日何か起こるんじゃないかと怖くなる。
「じゃあさ、依織はあの時、別の『お願い』にするんだったら何にしてた?」
「えー、いやー」
もうハッピーエンドだからそれ以外ないと思いながらも、聞いてくれるんだろうと思って少し真剣に考える。
「うーん、あの時、ですか?」
「そう」
「じゃあ、勉強教えてほしい、か、先輩と雑談したい、かな」