おとぎ話と秘密の物語~あべこべ世界で人助けをする事になりました~
ですが、駆け出したのも束の間、「やめてくれ!」というシェルディさんの叫び声が聞こえてきました。
街の真ん中で彼は蹲っていました。
街の人達はシェルディさんに向かって、物を投げつけます。
ゴミ、果物、卵――そして、先程売ったワイン。
「奴を捕まえろ!」
「女子供は下がっていろ!」
そんな言葉が飛び交います。
なんで酷い言葉が出てくるの?
なんで彼をいじめるの?
なん――
「……これが現実だよ」
「し、シラユキさん」
「……早く助けなきゃ、シェルディさんが大変です」
「そう、じゃあ……僕は帰る」
「え……?」
………………なんで?
「って、言ってる場合じゃありません……っ! シェルディさん!!」
男の人に押さえつけられ、地面に頬を擦り付けるシェルディさんに駆け寄ります。
「彼を離してください!」
「何言ってるんだ嬢ちゃん! こいつが何なのかわからないのか!」
「それは……“人間”ではないのですか?」
「化け物だよ!!」
「…………」
男の人は力強く言いました。
シェルディさんは小さくため息をつくと、
「いいんだよ、マリア」
と、呟きました。
「ダメですよ、貴方を助けて逃げます」
「……」
そんな時、ざわざわと声が聞こえてきます。
目の前で起きていること以外の、ざわめき声です。
「道を開けてください」
「一体なんの騒ぎです」
聞き覚えのある声が近くから聞こえ、顔を上げました。
ティアさんとイバラさんです。
ティアさんは私たちの前まで来ると、「何かと思えば貴女達ですか」と頭を抱えました。
街の真ん中で彼は蹲っていました。
街の人達はシェルディさんに向かって、物を投げつけます。
ゴミ、果物、卵――そして、先程売ったワイン。
「奴を捕まえろ!」
「女子供は下がっていろ!」
そんな言葉が飛び交います。
なんで酷い言葉が出てくるの?
なんで彼をいじめるの?
なん――
「……これが現実だよ」
「し、シラユキさん」
「……早く助けなきゃ、シェルディさんが大変です」
「そう、じゃあ……僕は帰る」
「え……?」
………………なんで?
「って、言ってる場合じゃありません……っ! シェルディさん!!」
男の人に押さえつけられ、地面に頬を擦り付けるシェルディさんに駆け寄ります。
「彼を離してください!」
「何言ってるんだ嬢ちゃん! こいつが何なのかわからないのか!」
「それは……“人間”ではないのですか?」
「化け物だよ!!」
「…………」
男の人は力強く言いました。
シェルディさんは小さくため息をつくと、
「いいんだよ、マリア」
と、呟きました。
「ダメですよ、貴方を助けて逃げます」
「……」
そんな時、ざわざわと声が聞こえてきます。
目の前で起きていること以外の、ざわめき声です。
「道を開けてください」
「一体なんの騒ぎです」
聞き覚えのある声が近くから聞こえ、顔を上げました。
ティアさんとイバラさんです。
ティアさんは私たちの前まで来ると、「何かと思えば貴女達ですか」と頭を抱えました。