七回目の、愛の約束
こうして、朱音は春の宗家・橘家の次期当主夫人となる。
契約によって成ったそれは、朱音を長い間振り回し、朱音の未来を歪めていった。
『……手放してあげられなくて、すまない』
強く抱きしめてくる腕。
何回目かの、邂逅の果て。
『また逢おう』
(貴方に出会わなければ、
こんな思いをしなくて済むのに─……)
想いを認めるには、辛くて仕方がなかった。
認めたくはなかった。でも。
『もう一度』
そう、あの人に縋るあなたを見る度、私は。
優しい人。優しすぎる人。
貴方が払った代償、私は返せないのに。
『朱音』
優しい声と、優しい腕に抱きしめられながら、
朱音は涙を零し、何度目かの眠りについた。