剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
「重くないですか?」
「平気だよ。毎日鍛えているしね」
真夏でも何キロもある装備を身につけ走っているのだ。エコバッグぐらいのひとつぐらいなんてことはないのかも。
先ほども真綾を軽々と持ち上げていたくらいだ。
着痩せするタイプなのか細身に見えるが、服の内側には隆々とした肉体が隠れている。
「鳴海さんって、何か格闘技とかやられてたんですか?」
「ああ。柔道は黒帯だよ。インターハイで優勝したこともあるし、警察官になってからはマーシャルアーツを趣味で」
「すごいですね」
食べることは好きだけれど、運動が少し苦手な真綾は素直に感心した。
鳴海を見習って少しは身体を動かした方がいいのかもしれない。
「真綾ちゃん」
ぼんやり考えていると、鳴海がおもむろに右手を差し出た。
まさか、手を繋げと言っているのだろうか。
「ほら」
ためらっていると、鳴海自ら真綾の左手を迎えにきた。
大きくて厚みのある手のひらが、紅葉のような真綾の手をすっぽり覆い隠す。
鳴海の手はところどころ皮膚が硬くなっていて、ゴツゴツしていた。
(どうしよう)
スーパーからマンションまでのたった数分なのに、真綾の心臓は今にも破裂しそうだった。
無骨ながら真綾を壊れ物のように丁寧に扱ってくれる鳴海に心がときめく。
(私、もっと太陽さんと近づきたい)
書類上の関係にすぎないのに、それ以上をどこかで期待してしまう。
真綾は無意識のうちに鳴海の手を、ぎゅっと握り返していた。