剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
「なにか手伝おうか?」
「大丈夫ですよ。太陽さんは座っていてください」
買い物を終え帰宅したら、すぐ夕食の準備に取りかかる。
鳴海は対面式キッチンのリビング側から真綾の手もとをジッと覗き込んでくる。
(見られているとなんだか緊張するな)
真綾はいつもより固くなりながらも、手際よく買ってきた野菜と鶏肉を一口大に切っていった。
野菜は電子レンジを使って、あらかじめ火を通しておく。
下ごしらえが終わると、真綾はスパイスの調合に取りかかった。
引き出しから、スパイスボトルをいくつもシンクの上に並べていく。
「もしかして、これ全部スパイス?」
「はい。全部織恵さんからのお裾分けなんです。早く使わないと香りが飛んじゃって美味しさが半減しちゃうんです。おかげでスパイス料理のレパートリーが増えました」
織恵は顔が広く近隣の農家とも交流があり、貰い物の野菜や惣菜をよく真綾にも分けてくれる。
このスパイスも同じ要領で譲り受けたのだ。
「へえ。じゃあ、スープカレーが開発されたのは、あの人のおかげなんだ」
「はい」
織恵が興味本位で購入し、使い切れずに持て余したスパイスがなければ、スープカレーは生まれなかった。
そういう意味では、織恵はこの結婚における仲人のような役割を果たしている。