剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
「さあ、行こうか」
ポンポンと真綾の頭を叩いた鳴海に促され、部屋を出る。
目的地までは鳴海の運転する車で向かう予定だ。
駐車場に停めてある車に乗り込んだら、すぐに出発する。
しかし、車は役所のある方向とは真逆に進んだ。
婚姻届を提出する前にジュエリーショップに寄り、結婚指輪を受け取る計画なのだ。
車は順調に道路を走り、二十分ほどでジュエリーショップに到着する。
「こちら、ご確認ください」
店員の手によりケースの蓋が開けられ、一対の指輪が目の前に現れる。
サイズ確認もかねて、ふたりは早速左手の薬指にはめてみた。
完成品を身につけると、ようやく結婚の実感が湧いてくる。
「このままつけて帰られますか?」
「はい」
鳴海がそう答えれば、今度はアフターケアなどの説明が始まる。
ジュエリーショップをあとにし、再び車に戻ってくるやいなや、鳴海が口を開く。
「ようやく新婚らしくなってきたね」
真綾と似た心境なのか、彼も指輪を嵌めた薬指をしげしげと見つめている。
鳴海も真綾も仕事柄、仕事中は指輪を外す必要がある。
本来なら不要の長物だが実用性はともかく、憧れのひとつには変わりない。
(太陽さんとお揃いだ)
ダイヤモンドが三粒埋め込まれた真新しいプラチナリングは、太陽の光の下でキラキラと輝いている。
真綾は鳴海に隠れるようにして、薬指にある指輪の感触を確かめていた。