剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
「な、なんでもないです」
今日こそと意気込んでみたけれど、根拠もなくアプローチするなんて無謀すぎる。
真綾の勇気は徐々に萎んでいった。
「おやすみ、真綾ちゃん」
「はい。おやすみなさい、太陽さん」
無情にも鳴海の部屋のドアがパタンとしまる。
今日も夫婦らしい触れ合いひとつしないまま、寝ることになるのだ。
(私、魅力ないのかな)
自室のベッドに寝転がりながら、真綾は思案にくれた。
一緒に暮らしていれば、なにかしら進展もあると思っていた。
結婚してもいいと思ってもらえる程度には好かれていたと思うけれど、単なる自意識過剰みたいだ。
仲睦まじい夫婦の会話はあっても、二人の間に身体の関係はない。
ネックレスをもらったあの夜以来、顔を近づけられることもない。
鳴海の態度は模範的な紳士そのもので、邪な心などチラとも見せない。
(これじゃあ私の方がよっぽど……)
もっと鳴海と近づきたいと飢えているのは真綾の方だ。
あの逞しい身体で力強く抱きしめられたい。あわよくばその先だって。
そんな欲望ばかりに頭を占められていて、恥ずかしくなってくる。
(で、でも。まだ一緒に暮らし始めて二カ月だし! もうちょっと頑張ろう)
真綾はともすれば後ろ向きになりそうな自分を鼓舞した。
しかし、具体的になにをすれば、鳴海の心を掴めるのか見当がつかない。
その夜、悩める新妻は悶々としながら眠りについた。