剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
(もう夜?)
どれほどの時間が経っただろうか。
毛布ごと鳴海の膝の上に座らされていた真綾はゆっくりと目を開けた。
ずいぶん前から雨が止み、雷鳴が聞こえなくなった。
雨が降り始めたときは夕方だったのに、いつの間にか本物の夜が訪れている。
鳴海の息遣いと時計の秒針だけが、静かな部屋の中に響いていた。
(この状況って……)
毛布越しに感じる自分とは似ても似つかない分厚い身体つきに、ぼっと顔が熱くなる。
徐々に冷静さを取り戻した真綾にようやく恥じらいという感情が生まれてくる。
真綾は恐るおそる鳴海を仰ぎ見た。
「どうした?」
「もう平気なので放してもらえませんか?」
「平気なわけないだろ。あんなに怯えて」
「でも」
「いいから!」
鳴海は言うが早いか、真綾の頭の後ろに手を添え、強引に己の胸に押しつける。
声を荒らげる鳴海なんて初めて見た。
(期待しちゃダメ)
真綾は必死になって自分に言い聞かせた。
本来ならこの優しさは他の女性に向けられるべきものだ。
そばにいたいと望んでいたけれど、彼がくれる安らぎも平穏も真綾が独占してはいけない。
相反する気持ちの折り合いがつけられず、真綾は渾身の力を込め、鳴海を突き飛ばした。
今は彼の優しさがつらい。