剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
◇
「結婚式ですか?」
「ああ。ケジメとしてちゃんと結婚式を挙げたいんだ。真綾のウエディングドレス姿も見たいしね」
「そうですか……」
鳴海が結婚式場のパンフレットを持ち帰ってきたのは、紅葉が見頃を迎え始めた週末のことだった。
真綾はテーブルの上に広げられたパンフレットを手に取り、しげしげと眺め始めた。
ドレスや式場に興味を惹かれるものの、指輪と比べたら費用は跳ね上がる。
あまり乗り気ではない真綾の気配を敏感に察知し、鳴海は素早く次の手を切り出した。
「知ってる? 警察官には儀礼服っていうのがあるんだ」
「儀礼服?」
「特別な式典か結婚式くらいでしか着られない礼服だよ」
鳴海はそう言って儀礼服のレンタルカタログを見せてくれた。
「うわあ」
警察官の制服とは違い、袖に階級を示す金の刺繍、肩には肩章が取り付けられている。
右胸の金の飾緒がいちだんと立派で、鳴海が着たら似合うに違いない。