剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
「どう? 儀礼服を着た俺を見たくない?」
「その言い方はずるいですよ」
見たくないかと聞かれれば、絶対に見たいに決まっている。
結婚式を挙げる方に気持ちが傾きかけるが、大きな不安が頭をよぎる。
結婚式ともなれば、親族の出席は必須だ。
真綾の近しい身内は父しかいない。金の件で他の親類とは疎遠になっている。
(呼べるの?)
結婚式の席で父が問題を起こさないとも限らない。
鳴海の上司や同僚の前で揉めることになったら、目も当てられない。
「招待客なしのふたりだけのプランもあるみたいだし、ゆっくり考えてみて」
鳴海は真綾の複雑な胸の内を見透かし、気を使わせないように先回りしてくれた。
「わかりました」
真綾がうなずいたのを確認すると、鳴海はソファから立ち上がり風呂場に向かった。
「やっぱりまずいよね」
真綾はカタログを片付けながらひとりつぶやいた。
警察官はかなりの縦社会だと聞いている。
義理や礼儀を重んじる風潮が色濃く残っているらしい。
本来なら、鳴海の妻となった真綾をきちんとした場所で紹介するのが筋だろう。
誰も招待しないのは、彼の立場を悪くしてしまうかもしれない。
(どうしよう)
いくら悩んでも結論が出ず、時間だけが経過していく。