剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
「私、結婚したの」
「結婚!? 父親に黙ってか?」
父親らしい振る舞いなんて、ここ数年してくれなかったくせに。
真綾は喉から出かかった言葉をグッと飲み込んだ。
「夫は警察官なの。私になにかあったら、きっと彼はお父さんを許さないと思う」
鳴海からはいざというときは遠慮なく警察官の身内であることを主張しろと言われている。
さすがの父も"警察"の二文字には怯んだ。
「ねえ、もう終わりにしよう? 私、もうお父さんにお金は渡せない。大事にしたい人がいるの」
きっぱり言い返されると思っていなかったのか、父は目を大きく見開いた。
(お願い)
真綾は祈るような気持ちで父を見つめた。
もし、改心する気になってくれるのなら、結婚式にも招待できる。
亡くなった母に代わり、ウエディングドレス姿を見せてあげられる。
真綾は一か八かの賭けに出たのだ。
しかし、淡い希望はあっさり打ち砕かれる。
「夫が警察官だからってなんだって言うんだ?」
父はハハハと馬鹿にしたような渇いた笑いを漏らした。