剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
『本当にこんな日まで塾に行くの? 勉強ぐらい家でやったらいいじゃない』
母が亡くなったあの日、朝から降っていた雨は次第に雨粒が大きくなり、真綾が家を出ようとしたときには雷まで鳴り始める荒れ模様になっていた。
『家より塾の自習室の方が集中できるから』
真綾は当時、高校三年生。
なにかと口うるさい母にうっとおしいものを感じていて、つい反抗心が態度に表れる年頃だった。
しかし、家を出て数分後。
傘をさしているにもかかわらず、着ていた服もスニーカーもすぐに雨で濡れてしまう。
母の言う通りにしておけばよかったとすぐ後悔したが、家まで戻るのもなんだかバツが悪い。
真綾はずぶ濡れになりながら、塾までの道のりを急いだ。
大雨のせいで視界が悪く、数メートル先の様子も見えない。
やっとの思いで大通りまでたどり着く。
いつもこの時間は大勢の人でごった返しているが、今日は雨のためか人の姿は少ない。