剛腕SATな旦那様は身ごもり妻を猛愛で甘やかす~利害一致婚のはずですが~
鳴海がキッチンに立ってから二十分後。
テーブルにはザーサイ入りの炒飯とかき卵スープが並んでいた。
「結構上手くできただろう? 俺、炒飯だけは得意なんだ」
「おいしいです」
「褒められるとうれしいな」
鳴海が作ってくれた炒飯は、彼の人柄そのもののホッとする味がした。
「真綾が疲れてるのは俺のせいだよな」
妊娠の事実を言い当てられた気がして、ドキンと心臓が跳ね上がる。
伏せていた顔を上げると、鳴海は照れ気味に言った。
「真綾の体力も考えずに、夜も散々付き合わせたもんな。うん、今後は少し控える」
鳴海はひとり納得して、炒飯を口の中にかき入れた。
(言えない)
真綾はスプーンを握る手に力を込めた。
優しい彼を真綾の事情に巻き込むわけにはいかない。
鳴海のためにもここにはいられない。
妊娠の事実を告げれば、鳴海はきっと離婚に応じないだろう。
そういう人だと五カ月間の結婚生活でしかと学んだ。
だから真綾はあえて黙って立ち去る道を選んだ。