屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
阿久津さんは、そのままわたしをソファに押し倒す。

でも、貴斗のように荒々しくなく、まるでガラス細工を扱うかのようにそっとやさしく。


――だからだろうか。

なぜか嫌じゃなかった。


「阿久津さん…、急になにをっ…」


阿久津さんがわたしの首筋にキスを落としていく。

小鳥がついばむような軽いキスに、くすぐったくて身をよじらせてしまう。


「今すぐに忘れることはできなくても、すべての痕に俺が上書きしてやるから」


阿久津さんがわたしの首筋、鎖骨に顔を埋める。

確かめるようにゆっくりと服をたくし上げ、くびれに見つけた痕にもキスを落とす。


阿久津さんの唇が触れるたび、体が火照って息が上がる。


わたしの上に覆いかぶさりながら上書きのキスを体中にしていく阿久津さんと目が合い、まるで吸い寄せられるようにお互いの唇を重ねた。
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