屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
このときばかりは我も忘れて、無我夢中で。


すると、阿久津さんが顔を離した。

それに対して、わたしが儚げな表情をしていたからだろうか――。


阿久津さんがソファから立ち上がったと思ったら、そのままわたしの体を抱きかかえた。

突然のお姫さま抱っこに、とっさに阿久津さんの首に腕を回す。


そのまま連れてこられたのは、阿久津さんの部屋のベッド。

わたしはその上にやさしく下ろされる。


ネクタイをシュルリと解いた阿久津さんが、わたしの上に覆いかぶさる。

わたしたちはどちらからともなくまた深いキスをすると、お互いの背中に腕を回して抱きしめあった。


今のわたしたちの間に言葉なんていらない。

このときばかりは、心が求め合っていた。


熱で浮かされたみたいに、頭がぼうっとする。

そんなわたしに、阿久津さんは甘い刺激を与えてくる。
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