屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
そして、先に席についていたわたしの向かいにスーツに着替えた阿久津さんが座った。


「「いただきます」」


気まずい朝食の時間が始まった。


新聞を見ながら黙々とトーストをかじる阿久津さんは普段と変わらず凛々しくて、昨夜とはまるで別人のよう。


「…なんだ?どうかしたか?」


わたしがじっと見つめていたことに気づかれてしまった。


「なっ…、なんでもありません!」


瞬時に阿久津さんから顔をそらして、スープをすする。


「なにもないことはないだろ。もしかして、敵である俺に惚れたとか?」


細めた目でわたしを捉え、口角を上げる阿久津さん。


「…そんなわけありません!それに、あれでわたしは丸め込まれませんよっ。立ち退きには変わらず反対です。今日母のところに行って、改めて話し合うつもりなので」
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