屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
わたしは前と変わらず阿久津さんと争う覚悟。

その意思の表れとして阿久津さんを睨んでみるも、なぜか目が合うとドキドキしてすぐに視線をそらしてしまう。


…おかしい。

前まではこんなことなかったのに。


「それに、火遊びもほどほどにしたほうがいいですよ。もし、わたしが阿久津さんの悪い噂を流したりしたらどうするつもりですか」

「心晴はそんなことしないだろ?それに、火遊びのつもりでもない」

「…え?」

「好きな女だから抱いた。それだけだ」


わたしをまっすぐに見つめる阿久津さん。

その言葉に、わたしの手からトーストが滑り落ちた。


「…す、“好きな女”…?それって――」


とわたしが言いかけたとき、阿久津さんのスマホが鳴った。

わたしに断りを入れた阿久津さんが、スマホを持って廊下へと出ていく。
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