屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
阿久津さん、さっき…“好きな女”って言ったよね…?

…聞き間違いじゃなく。


でも、阿久津さんにとってもわたしはやっかいな敵じゃないの…?


混乱して思考が停止しているわたしのところへ、電話を切った阿久津さんが戻ってきた。


「本当はもう少しゆっくり朝食を楽しみたかったが、今から会社に向かうことになった」


阿久津さんは残っていたトーストを口の中へ放り込みスープを流し込むと、食器を持ってキッチンへと向かった。


「悪いが、食器はここに置いておく」

「…あ、はい。大丈夫です」


なにかトラブルが起こったのか、阿久津さんはすばやくネクタイを結ぶ。


「お気をつけて」

「ああ、ありがとう。そういえば、心晴は2時頃病院へ見舞いに行くのか?」

「は、はい。そうですけど…」


お母さんのお見舞いには、お昼の2時頃に行っている。
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