屈辱なほどに 〜憎き男に一途に愛を注がれる夜〜
「そんなに驚くことか?俺たち、付き合って2年もたつのに」

「だ、だって…。わたしはこれまではお店のオープンに向けて頭がいっぱいで、きっとこれからもそうなるだろうから、いい奥さんなんてできないのに…」

「なにもいい奥さんになってほしいわけじゃない。心晴が作ってくれた料理で、心晴と笑って楽しい食事の時間を過ごす。そんな当たり前の幸せがずっと続いてほしいから」


そう言って、阿久津さんは背広のポケットから小箱を取り出した。

阿久津さんの手の中にすっぽりと収まるサイズの小箱の中には、煌めくダイヤの指輪が。


「これからも、俺の隣で笑っていてほしい」


やさしく微笑む阿久津さんを見て、わたしも笑みがこぼれた。


「…はいっ!こんなわたしでよければ、よろしくお願いします」



わたしと阿久津さんは水と油。

絶対に交わることなどない。


――そう思っていたのに。


屈辱なほどに、今は幸せでいっぱいです。



Fin.
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