[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
「少しは落ち着いたか?」


無言で頷く彼女に続ける。


「さっきも言ったが、このマンションにいる限り安全だから......お前さ、行く当てもないって言ったよな?」


涼介の目にふとソファーの横にある紙袋が目に入り、しばらく考えた。


「必要なのはセキュリティ完備の部屋......お前、確か新しい仕事も探しているんだよな?」

「はい、でもセキュリティがいいお部屋は家賃が高すぎて。あまりお金もないし......それに先生の費用もお支払いしないと」

「俺の弁護士費用いくらか知ってるのか?他の奴らより高いよ。まぁ、それだけ価値があるからな、俺がやることは。お前、どうやって払うつもりだ?」

「す、少しずつでもお支払いしますので」

「俺は慈善事業をしているつもりはない。今すぐ払えなければ、他の方法で払ってもらう」


その言葉を聞いて鈴音は青ざめた。


「何を考えているんだ、お前? 他の方法っていうのは、俺と結婚するってことだよ」

「......?」


思考が追い付かない鈴音に続ける。
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