[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
「契約結婚だよ。もちろん藉は入れてもらう。お前は俺と結婚することで、まず苗字が変わりセキュリティーが整ってるこの部屋に住める。ストーカーの目を欺く事ができる。
仕事は俺の秘書をしろ。もちろん給料も支払われる。俺にもメリットがあるんだよ。お見合いをせずにすむ。まぁ、女よけだ。俺は面倒な恋愛や結婚するつもりないが、この歳になると周りがうるさい。社会的にも結婚して世帯持った方が信用されやすい。」


「契約.....結婚......わ、わたしでは妻役、む、無理です。私と先生では釣り合いません。あの、どなたか知り合いの女性に頼んでみては?」

「契約結婚を、持ちかけられるような知り合いはいない。彼女もいないし、作らない。
女とは一晩だけの関係しか持たないし、同じ女と二度ベッドを共にすることもない。こういう女達はこの契約には向かないんだよ。
だからお前なんだ。弁護士料払えないだろう?」


涼介は淡々と続ける。


「経済的に不自由はさせない。弁護士のほかに、学生時代からの投資もしてる。ここを含めて3件の物件も所有してる。もちろん生活費は渡す。おまえの案件料は払わなくていい。」

「でも.....」


(やっぱり無理だよ。結婚するってことは体の関係も? 私キスだってしたことないのに。そうなるのは好きな人とがいい。でも先生は違うみたいだけど……)


戸惑い、決めかねている彼女にイラつきを覚え、少し声を張り上げて冷たく言い放つ。


「お前は俺と結婚するんだよ、いいな?」

「は、は、はい。」

「早速だが婚姻届に記入して」


2人で暮らすにあたってのルールも決める。


「その前に、お前の部屋の荷物の処理手配するから。」


と言い、涼介は電話をかけた。

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