[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
ここは有名ジュエリー店で、常に『女子のあこがれ結婚 & 婚約指輪トップ3』に入っている。ここでも個室に案内されるVIP待遇。前もって涼介が連絡を入れていたらしく、ローテーブルには黒いベルベットトレイに結婚指輪と婚約指輪の数々が並ぶ。
「気に入ったものがあったら言いなさい。なかったら他の物を持ってきてもらうから」
涼介は鈴音に選ぶよう促す。
(さっき沢山お洋服も買ってもらったのに。契約結婚だから婚約指輪要らないよね? それにこんな高価な物、無くしそうで怖くて着けられないよ)
「あ、あの先生......結婚指輪だけで十分です」
小声で涼介に伝える。
「いいから両方選べ。俺に恥かかせるな」
あの冷たい目で睨まれると、何も言えなくなってしまう。
(どうしよう......)
鈴音が悩んでいると、年配の従業員が助け舟を出してくれた。
「お嬢様は小柄で華奢でいらっしゃるので、このような小ぶりの愛らしいデザインなどお似合いかと思いますが、いかかですか?」
結局勧められた指輪に決まり、涼介が鈴音の左薬指に婚約指輪をそっとはめる。主張過ぎない大きさのオーバルカットダイヤの指輪は、鈴音のほっそりした指によく似合っている。美しい輝きを放つダイアに反して、なぜか鈴音の心は暗く重い感情で埋め尽くされていた。
「気に入ったものがあったら言いなさい。なかったら他の物を持ってきてもらうから」
涼介は鈴音に選ぶよう促す。
(さっき沢山お洋服も買ってもらったのに。契約結婚だから婚約指輪要らないよね? それにこんな高価な物、無くしそうで怖くて着けられないよ)
「あ、あの先生......結婚指輪だけで十分です」
小声で涼介に伝える。
「いいから両方選べ。俺に恥かかせるな」
あの冷たい目で睨まれると、何も言えなくなってしまう。
(どうしよう......)
鈴音が悩んでいると、年配の従業員が助け舟を出してくれた。
「お嬢様は小柄で華奢でいらっしゃるので、このような小ぶりの愛らしいデザインなどお似合いかと思いますが、いかかですか?」
結局勧められた指輪に決まり、涼介が鈴音の左薬指に婚約指輪をそっとはめる。主張過ぎない大きさのオーバルカットダイヤの指輪は、鈴音のほっそりした指によく似合っている。美しい輝きを放つダイアに反して、なぜか鈴音の心は暗く重い感情で埋め尽くされていた。