[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
外はすっかり暗くなり、街灯に明かりが灯り始めた。3月中旬の夜気は、上着なしではまだ寒く感じる。
どこをどう歩いてきたかも分からないまま、目の前にある公園のベンチに腰掛けた。
(わかっていたことじゃない、みんなの目を欺くための演技だって。これは契約結婚なんだから。でも、もしかしたら涼介さんも私の事すきなのかもって......ばかみたい、1人で舞い上がって)
鈴音の目から大粒の涙がゆっくりと流れた。
「あれ、鈴音ちゃん? こんな所でどうしたの? 」
突然花屋の上田が近づいてきたので、驚き慌てて涙を拭いて立ち上がる。
「い、今帰る所です」
立ち去る鈴音は、いきなり腕をつかまれた。びっくりして腕を振り払おうとすると、さらに強くつかまれた。
「泣いてたんでしょ、目が赤いよ。僕だったら絶対鈴音ちゃんを泣かすようなことしないよ」
微笑む上田の顔に恐怖を感じる。
(えっ、なんで下の名前まで知っているの?いやだ、怖いよ。もしかしてこの人......?)
危機を感じた鈴音はさり気なく胸元のネックレスに触れ、真ん中を押した。
以前涼介が教えてくれたのだ。
『このサファイアみたいな物の真ん中を押すと、俺のケータイと警備会社へ知らせが来るようになっている。その後警備会社が警察へ連絡を入れるから。これは緊急の時だけ押すように』
どこをどう歩いてきたかも分からないまま、目の前にある公園のベンチに腰掛けた。
(わかっていたことじゃない、みんなの目を欺くための演技だって。これは契約結婚なんだから。でも、もしかしたら涼介さんも私の事すきなのかもって......ばかみたい、1人で舞い上がって)
鈴音の目から大粒の涙がゆっくりと流れた。
「あれ、鈴音ちゃん? こんな所でどうしたの? 」
突然花屋の上田が近づいてきたので、驚き慌てて涙を拭いて立ち上がる。
「い、今帰る所です」
立ち去る鈴音は、いきなり腕をつかまれた。びっくりして腕を振り払おうとすると、さらに強くつかまれた。
「泣いてたんでしょ、目が赤いよ。僕だったら絶対鈴音ちゃんを泣かすようなことしないよ」
微笑む上田の顔に恐怖を感じる。
(えっ、なんで下の名前まで知っているの?いやだ、怖いよ。もしかしてこの人......?)
危機を感じた鈴音はさり気なく胸元のネックレスに触れ、真ん中を押した。
以前涼介が教えてくれたのだ。
『このサファイアみたいな物の真ん中を押すと、俺のケータイと警備会社へ知らせが来るようになっている。その後警備会社が警察へ連絡を入れるから。これは緊急の時だけ押すように』