[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
8章:甘い旦那様
近衛総合病院に搬送された鈴音は、刺された傷の手当てを受けていた。傷口が思いのほか深く縫合手術となり、一晩入院をすることになる。


涼介の幼馴染でこの病院の跡取りである整形外科医の近衛彰人が担当してくれた。


「抜糸は2週間後ね。傷跡は目立たないけれど、残ると思う......大丈夫か、涼介?」


フ―っと長いため息を吐きながら、回復室で眠っている鈴音を心配そうに見つめる涼介。


「ありがとな、彰人。俺人生で初めて恐怖を感じたよ、鈴音を失うかもって。本当に怖かった。なあ、今晩俺もここに泊まっていいか? 鈴音の側にいたいんだよ」

「特別個室なら家族も泊まれるから、すぐ手配するよ。まさか数時間前、お前と電話で奥さんの事話していたのに、こんなことになるなんて。お前見てて思ったよ、さっき電話で言った彼女に対する気持ちが本当だって。契約結婚になった理由より、今お前が心から彼女を愛しているってことが1番重要だから。大切にしてやれよ」


涼介の肩を軽くたたき、彰人は部屋から出て行った。





特別個室に移っても鈴音は眠ったままだ。彰人の計らいで鈴音のベッドの隣にもう1台のベッドを移動させてくれた。


眠っている鈴音の隣に横になり、優しく髪を撫で囁く。


「愛しているよ、鈴音。守ってやれなくてごめんな......もうニ度とお前を傷つかせないから」


2人はいつものように手をつないで眠った。
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