[慶智の王子・伊集院涼介の物語]冷酷弁護士と契約結婚
翌朝家に戻ると、なぜか鈴音は涼介の膝の上に横向きに座っている......というか、座れせられている。


ローテーブルには本、タブレット、クッキーと鈴音が大好きなスパイスココアもある。無糖ココアにシナモンやジンジャーなどのスパイスを混ぜ、温めた牛乳を注ぎはちみつで甘さを調整する鈴音オリジナルのココア。今日は涼介が用意してくれた。


「作り方曖昧にしか覚えてないから、味の保証はないが。スパイスの分量が分からなくてな」

「大丈夫、とても美味しいです。涼介さんありがと」

「そうか、よかった」


涼介は優しく微笑んだ。


「あ、あの涼介さん、もう下して。私重いし涼介さんも疲れちゃう」


降りようとする鈴音の傷を気遣いながら、涼介は優しく抱きしめる。


「全然重くない、むしろ軽すぎるくらいだ。俺がこうしていたいんだ、いやか? 」


首を横に振る鈴音。


「こうしていると落ち着くんだ。それにそろそろ痛み止めが効いてくる頃だろう? 眠くなる成分も入っているからこのままでいいよ」


数分後寝落ちした鈴音にブランケットを掛け、そっと額にキスを落とす。


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