恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
出版社
私が先輩の家に住み、家政婦業に慣れ始め早いもので一週間が過ぎていた。


この生活がどうなるんだろうって
かなり不安だったけど、真面目にバイト
を沢山してきたおかげか、仕事となるとかなり割り切れてる。



『ひ よ り?‥ふふ』

「何……その笑顔怖いんだけど。」


講義で一緒になった親友の彩が、久しぶりに構内にあるカフェに誘ってくれた。


高校生の時に転校して北海道に行ってから、少しずつ元気を取り戻して友達と呼べる子も数人出来た。


その中でも彩は偶然講義で隣になり、
今では本当になんでも話せる大切な親友の1人だ。


今日は瀬木さんに特に何も頼まれてないし、晩御飯を作る頃までに帰ればいいから彩もなんだか嬉しそう。


最近瀬木さんについて幾つか分かったことがある。


・徹夜明けや締切前の時はいつも
 以上に機嫌が悪い。

・疲れるといつも以上に無口になる。
 無表情というより無に近い。

・コーヒーがとにかく大好きで、
 ご飯を食べずに一日が終わる。


無口で言葉は足りないけれど、
その割に私のことを案外よく見ていて、
時々声をかけてくれる。


機嫌が悪いのはめちゃくちゃ伝わるけど、私に対して話す時は普通だし、
家政婦としての仕事をすることが
仕事だから、そこは大丈夫。


作品に行き詰まる時だけベランダで稀にタバコを吸っているんだよね‥‥


煙草をふかすイメージはなかったから、
初めてそれを目の前で見た時は
時間の経過や大人な一面を感じて
少し寂しくもあった


私が知る6年前の先輩は、勿論制服を着ていたし、知っているようで知らない事の方が多いのだ。


少しずつだけど、こうして知らない姿が見れて嬉しいのは確かなんだよね‥


『で?どうなの?』

「どうって何が?」

『はぁ!?同棲よ、同棲!!』

「ぶっ!……ゴホッ……ゴホッ!!」



彩の発言に驚いて思わずむせてしまう。
< 21 / 146 >

この作品をシェア

pagetop