恋愛日和 いつの日か巡り会うその日まで
瀬木 遥 side

『‥‥んっ‥』


ゆっくりと瞳を開けて視線を傾けると
一番に映ったのは立花の寝顔だった。


サイドテーブルに置かれた時計に目をやればもうすぐ朝の5時で、日の出が早い季節なだけに、部屋に入る日差しがすでに夏色だ。


『(もしかして…あれから…
 ずっとここにいたのか?)』


両手をベッドに乗せたまま俯いて眠る
彼女の顔にかかる前髪を指先ではらう


……瞼が腫れてる。もしかしなくとも
泣かせてしまったのだろうか?


俺が変なメールしたから立花のことだ。多分混乱しただろうな‥‥。


他の誰でもなく、立花に連絡したことに気付いたのは送信してからで後悔した


朦朧とする意識の中だったからあまり記憶がないけど、彼女が大きな声で
俺の名前を呼ぶ声だけは聞こえてた


ここに来てからあまり心から笑わない。

昔は見かければ本を読んでいるだけなのに表情豊かでその世界に入り込んでいたりしてたのに‥


眠ってるのをいいことに白くて柔らかい立花の頬や肌に手の甲を触れさせる


6年前と比べて可愛い子から随分綺麗になった‥‥‥


聞きたいことは沢山ある。でも立花から言うまでは待ちたい。やっと会えたのだから…


側に置いてあったブランケットを
そっと彼女にかけてから、無防備に置かれた手を握りまた瞳を閉じた


瀬木 side 終
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