面社長のお見合い8連敗~庇護欲強めの恋愛初心者でした~
「池川さん、あまり気を落とさないでね」

 声をかけてくれたのは商品開発部長だった。東京の有名ホテルのパティシエとして働いていて、社長から引き抜かれた女性だ。仕事ができて神の舌と言われている。

「味は悪くなかったと思うの。だけどほんの少し奥行きが足りなかった気がしたわ。もう少し砂糖の分量を変えてみるのはいかがかしら。私も協力できることがあれば言ってね」

「ありがとうございます」

 頭を下げて見送りをしたけれど、考えなければいけないこと、学ばなければいけないことがありすぎて、体と心に余裕がない状態だった。



 今日も夜遅くまで残ってケーキの試作品を作っていた。

 限られたコストの中で、お客様が最大限に喜んでもらえるものはどんなケーキなのだろうか。

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