婚約破棄したいのに、天才華道家の独占愛に火を付けてしまったようです。
* * *
それから数日後。
「このレースかわい~~。お花だし菜花にピッタリじゃな~い?」
「Aラインも綺麗よ! 菜花ちゃんスタイル良いから絶対似合うと思う」
紫陽と蘭はきゃっきゃっとはしゃぎながら純白のウェディングドレスを物色している。
菜花本人をそっちのけで盛り上がる姉と義理の妹に、菜花が口を挟む暇がない。
「あら、このロングドレス素敵。裾が長くて広がってるドレスってゴージャスよね~。それに背中がパックリ開いてとってもセクシーよ。菜花、これにしない?」
「ダメ」
そう言ったのは紅真だった。
「そんなの人前で着るなんて有り得ない」
「もう、紅真さんったら。人生に一度の結婚式なんだからいいじゃない~」
「僕の前だけでなら。他人には見られたくないよ」
紅真があまりにも真顔で言い切るので菜花は真っ赤になって俯く。
「ところで、どうして蘭と紫陽さんまで来てるの?」
今日は菜花のウェディングドレス選びに来ていた。
思わぬ形で結婚が広まってしまった結果、両家の親たちが結婚式はいつにするのかと急かされることになり、ゆっくりする暇もなく結婚準備が始まってしまったのである。
「私は母の代わりよぉ。一緒に選びたかったけど、どうしても仕事があって来られなくて。だから私が来たの」
「紫陽さんはともかく、蘭は?」
「菜花ちゃんのドレス姿見たいじゃない」