【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
 アナベルは考えを巡らせた。このままこの旅芸人の一座に入ることと、孤児院に入ること……どちらのメリットもデメリットもわからないことだった。だが、旅芸人ということは少なからず、様々な情報を得られるのではないか? と思いつく。

「……たくさん、練習します。だから、アナベルを仲間にしてください!」

 村を焼いた犯人を(さが)すためにも、情報は多いほうが良い。

 アナベルは頭を下げて、この一座に入ることを懇願(こんがん)した。

 ミシェルとクレマンは、互いに顔を見合わせて、それからクレマンがアナベルの腋の下に手を入れてひょいと持ち上げる。

 自分の肩に座らせると、すぅっと大きく息を吸って――……

「新人のアナベルだ! 徹底的にいろいろ教え込め!」

 そう、宣言した。

 わぁぁああっ! と歓声が上がった。

 どうやら、アナベルのことを歓迎してくれるようだった。そして、村にいたときはあれだけ人見知りだったのに、ここの人たちは普通に話せている自分に気付く。

(きっと、ショックなことが多すぎたんだ……)

 自分を花嫁にしようとした貴族、魔物に襲われて陰から落ちたこと。焼かれた村……。そのすべてが、アナベルの心に強いショックを与えてしまい、心身ともに疲労していた。

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