【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「……確か、こんな感じの内容だった……ような?」
「そうだ。神の祝福なのか妖精の情けなのかは人によって違うらしいが……」
「妖精説もあるんですね。あたしは神の祝福でした」

 母がいつも寝る前にこの話をしていたと説明すると、エルヴィスはぽんとアナベルの頭を撫でる。

「……陛下?」
「……いや、すまない」

 エルヴィスは自身がどうして彼女の頭を撫でたのかと一瞬目を見開き、すぐに彼女の頭からぱっと手を離して目をそらす。

 アナベルはそんなエルヴィスをじぃっと見つめて、彼の耳が赤くなっていることに気付いて小さく笑った。

 ちらりとアナベルを見るエルヴィスに、彼女はそっとその頬につん、と人差し指で触れる。

「謝らないで」

 アナベルがふわりとはにかむと、エルヴィスの頬の赤さが増した。

 その姿を目にして、アナベルも頬を赤く染める。

 ばっと彼の視線から逃れるように、両手で頬を隠した。

(どうしたの、あたし……)

 トクントクンと胸の鼓動が早鐘を打つのを感じて、アナベルは自分の気持ちに戸惑うように眉を下げる。

 今までいろいろな男性を見てきた。

 その誰よりも、エルヴィスはキラキラと輝いて見える。

 アナベルはぐるぐるの思考をまとめようと考え込む。そして、ミシェルの言葉を思い出した。
< 54 / 255 >

この作品をシェア

pagetop