【完結】寵姫と氷の陛下の秘め事。
「……陛下はなにをしているのかしら……?」
「あれはねぇ、魔物の『核』を壊しているのよぉ」
「核?」
「魔物の心臓ってところかしらねぇ? そっかぁ……そういえばアナベルは、魔物を退治するところって初めて見るものねぇ……」

 その口ぶりからして、アドリーヌは魔物を退治しているところを見たことがあるようだった。

「魔物を倒すときは、『核』まで壊さないと復活しちゃうのよ。だから、ああやって止めを刺すの。そうじゃないと復活した魔物が、人間を襲っちゃうから」
「そうなんだ……」
「アナベルが入ってきてから、あんまり魔物と遭遇することがなかったから、教えてなかったわねぇ」

 アドリーヌの言葉に目を丸くするアナベル。

 野生の動物たちには出会ったことがあるけれど、この十五年、魔物と遭遇するのは片手で足りるほどだ。

 それに、遭遇したときは退治ではなく、息を殺して通り過ぎるのを待つか、気付かれていないうちにこっそり逃げていた。

「……陛下が魔物を凍らせているのは、わざと?」
「あの氷の魔法を使うと、『核』が壊しやすくなるらしいわよぉ?」
「……なんでそんなことを知っているの?」
「陛下に聞いたから」

 パチン、とウインクをするアドリーヌに、アナベルは「えっ?」とびっくりして目を(またた)かせる。
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