堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「さっき勇気とどんな話をしたの?」

 彼が前を見て運転しながら問いかけた。
 副社長が意味深な感じで面白おかしく切り取ったから気になったのだろう。

「話というか、ただ私が試されたんです。副社長から口説かれても揺らがないかどうか」
「アイツ……」
「私ったら、本気で腹が立って怒っちゃったんですよ」
「すまない。俺からきつく灸をすえる」

 運転席の彼へ向けて、ふるふると首を横に振る。
 本当に驚いたし、副社長の人間性すら疑ったけれど、今となってはすべてがお芝居だったと知って一件落着したのだから。

「副社長が羽瀬川先生のことを大事に思ってる証拠です」
「勇気は君がどれだけ俺を好きかわかったって言ってたけど?」

 予想外の返事をされた私はうろたえながら視線を逸らせた。
 自分の気持ちは伝えるつもりでいたし、そういう話の流れになったのだけれど。
 移動中の車の中で相手の目も見ずに言うのは、どうしても半分逃げている気がする。
 だから今じゃない。このあと先生の話を聞いたあとで、落ち着いて真正面から誠意をもって伝えたい。
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