堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
「あのさ、勇気の叔母さんからもらった肉があるから食べていってよ。ひとりだから持て余してたんだ」
「お肉ですか?」
「厳選黒毛和牛のステーキ」

 キッチンで冷蔵庫を開けている彼に近づいていくと、贈答用の木箱に入った霜降りの牛肉を見せてくれた。
 
「うわ、おいしそう」

 高級なお肉に感動して、反射的につい本音がこぼれた。
 子どもみたいな反応をしたことが恥ずかしくなって、すぐに顔を引き締める。

「いただいちゃっていいんでしょうか」
「俺は君に食べてほしい」

 先生がもらった物なのに、私までおいしいお肉を堪能するのはなんだか申し訳ない。
 だけどたしかにひとりで食べるにしては多いし、高級なお肉だから冷凍して味が落ちるのももったいない。

「よし、焼こう」
「私も手伝います」

 対面型になっているキッチンの中は広く、綺麗に整頓されている。そこがまた彼らしい。
 お肉はお任せするとして、私はお皿やグラスをを出すなどこまごまとサポートすることにした。
 ワイシャツの袖をまくり、調味料やフライパンを握る彼の立ち姿がモデルみたいにカッコいい。
 ふたりで料理をするのがこんなに楽しいなんて知らなかった。ウキウキしすぎて無意識に笑みがこぼれる。

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