堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
 ダイニングテーブルの上にグラスやカトラリーを並べて待っていると、彼がやってきてステーキの乗った皿を私の目の前に置いた。
 いつの間に用意したのか、茹でたブロッコリーやニンジンの付け合わせも添えられている。

「ワイン、飲める?」
「はい」

 お酒にくわしくない私にはよくわからないけれど、洒落たボトルに入った赤ワインがグラスに注がれた。
 椅子に腰を下ろし、ふたりでグラスを合わせて乾杯をする。

「おいしいですね」
「口当たりがいいから飲みすぎに注意だな」

 彼に勧められ、上手に焼かれたステーキをナイフで切って口に運ぶと、驚くほどやわらかくてあっという間に口の中から消えてなくなっていく。
 しかし後味としてはしっかりとした牛肉の甘みが残っている。さすが高級なお肉は違う。

「なんですかこれ。めちゃくちゃおいしいです!」
「はは。よかった。そんなによろこんでもらえたら俺もうれしい。勇気の叔母さんに感謝だな」
「先生は副社長のご家族とも仲がいいんですね」

 ご両親のみならず、叔母さんにまでかわいがられているのだから、家族ぐるみでの仲のよさの表れだ。
 そんなふうに勝手な妄想をしたのだけれど、彼はしばし考えたあとに小さく首をひねった。

「守秘義務があるからくわしくは言えないけど、叔母さんから弁護の依頼を受けてるんだ。それで感謝されてるのかも」
「なるほど」
「でも勇気の両親とうちの親は仲がいいと思う。子どものころはお年玉や誕生日プレゼントをもらってたし」
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