堅物弁護士が占い好きな私に恋を教えてくれました
 裕福な家同士でホームパーティーなんかが開かれていたのだろうなと想像が膨らんだ。
 どこかのホテルのシェフを呼んで料理をふるまったり。
 それに比べて私は高校生のころ、学校帰りに友達とファーストフードに寄ったりしていた。
 コンビニで買ったアイスモナカを半分こしたり。……育った環境が全然違う。
 そう考えたら自然と不安に襲われてきたけれど、打ち消すように小さくふるふると首を振って笑みをたたえた。
 勝手に妄想をしてひとりで落ち込むなんてネガティブすぎる。

「顔、だいぶ赤いけど大丈夫?」
「ワインがおいしくて。酔いが回ってきちゃいました」

 指摘されたので頬に手を当ててみると、たしかに熱い。
 ワインはアルコール度数が高いとわかっていたのに、ついついすすんで飲んでしまった。

「そういえば今月の二十六日は誕生日だろ? そのときは外で食事しよう」
「あの、どうして私の誕生日を知ってるんです?」
「すまない。今日ちょっと、人事部のデータを目にする機会があって……」

 要するに勝手に私の人事データを見た、ということだ。
 バツ悪そうに彼が視線を逸らし、右手でこめかみ辺りを掻いている。
 こんな姿の彼は珍しくて、なんだかかわいらしいとすら思えた。

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