性悪陰陽師は今日も平気で嘘を吐く。
「はい、これで多分最後」
光は無数の束ねられた資料を無機質な机に積み上げると、大きく体を伸ばす。
「…先輩。なんで、いつも報告会のギリギリまで報告書あげてくれないんですか?嫌味ですか?」
山積みにされた資料のせいで顔は見えないが、檜森の苛立しげな声が事務所内に響き渡る。
「しゃあねぇじゃん。俺、忙しいもん」
「知ってます?忙しい人間は女の子とデートなんてしないんスよ?」
光はその言葉に「へいへい」と返事を返すと近くに置かれたソファに横になる。
「ちょっと!来客用のソファで寛がないでもらえますか?今日も人来るのに…」
「どうせ、営業かなんかだろ?緊急の案件は店から来るから問題ねぇって…」
光は近くに置かれた雑誌に手を伸ばすとそれをペラペラとめくっていく。
「みんなが、みんなそうじゃないでしょうに…、あんな店持ってるの先輩くらいですよ?そもそも、店なんかやらなくても協会から直々に依頼は入るじゃないっすか…」
檜森はめんどくさそうに、一つずつ資料に目を通していく。
「ここから来る依頼は全部親父の審査が入るから嫌なんだよ…、結局多く金を積んだ奴か、事件性のある奴しか扱わないだろ?」
「一応それで、食ってるんで別にいいじゃないですか?何が問題なんです?」
すると、光は持っていた雑誌をゴミ箱へと投げ入れた。
「問題だらけだよ…。困ってるのは金持ちだけじゃねぇんだ。小さな芽を摘むことのほうがよっぽど大事だとは思わないのか?それを怠るから事件に繋がる。もっと早く救えた命だってあったはずだ」
光は以前憑き物を落とした誠の友人を思い出す。悪の芽は誰も知らないところでむくむくと大きくなる。早く気づいて早急に対処すれば救えた命は沢山あったはずだ。
「そうですけど…、そんなことしてたらキリないっすよ?もっとビジネス的にやらないと…」
「…俺はこの仕事をビジネスだとは思ってない。ビジネスは店の経営だけで十分だよ」
光はそう言うと、もう一つの雑誌に手を伸ばす。
「ちょっと!あんまり荒らさないで下さいよ?ってか新刊なんでゴミ箱に捨てるのやめてもらえますか?!」
檜森が珍しく声を荒げていると、事務所の奥から一人の女が姿を現した。
「檜森君声デカすぎ!ってあれぇ、光君!来てたんだ!」
女はわざとらしく驚いた表情を見せると、嬉しそうに光の側へと近づく。
「久しぶり!、最近事務所に顔出してくれないから死んじゃったのかと思った!」
光は女の言葉にあからさまに嫌な表情を見せる。
「あんた、誰?何の用?」
「え…忘れちゃったの?ほら、何度か声かけてくれたじゃない?」
正直言ってこの手の女に光はうんざりしていた。まだ利用できる相手ならばまだしも、何の利用価値もない女に愛想を振りまくことほと無駄な時間はない。
「覚えてない…」
「ほ、ほら!この前もエレベーターの前で荷物持ってくれた…」
「悪いんだけどさ、マジで覚えてねぇから」
光のイラついた態度に、女は泣きそうになると逃げる様にしてその場を後にした。
「…ったく、なんなんだ。こっちはやりたくもない報告書の作成で苛立ってるってのに」
光の発言に檜森は苦笑する。
「先輩って、大事な人とそうでない人の線引き激しいっすよね」
「たりめぇだ。人を思いやる人数には限度ってもんがあんだよ…」
「先輩の場合、その数は限りなく少ない様に思うんでが…」
檜森は資料に目を通しながら、答える。
「…否定はしない。大事な人は少なくていい」
そんなの、沢山いてたまるか。
光は、どこか寂しそうな声でそう呟いた。
光は無数の束ねられた資料を無機質な机に積み上げると、大きく体を伸ばす。
「…先輩。なんで、いつも報告会のギリギリまで報告書あげてくれないんですか?嫌味ですか?」
山積みにされた資料のせいで顔は見えないが、檜森の苛立しげな声が事務所内に響き渡る。
「しゃあねぇじゃん。俺、忙しいもん」
「知ってます?忙しい人間は女の子とデートなんてしないんスよ?」
光はその言葉に「へいへい」と返事を返すと近くに置かれたソファに横になる。
「ちょっと!来客用のソファで寛がないでもらえますか?今日も人来るのに…」
「どうせ、営業かなんかだろ?緊急の案件は店から来るから問題ねぇって…」
光は近くに置かれた雑誌に手を伸ばすとそれをペラペラとめくっていく。
「みんなが、みんなそうじゃないでしょうに…、あんな店持ってるの先輩くらいですよ?そもそも、店なんかやらなくても協会から直々に依頼は入るじゃないっすか…」
檜森はめんどくさそうに、一つずつ資料に目を通していく。
「ここから来る依頼は全部親父の審査が入るから嫌なんだよ…、結局多く金を積んだ奴か、事件性のある奴しか扱わないだろ?」
「一応それで、食ってるんで別にいいじゃないですか?何が問題なんです?」
すると、光は持っていた雑誌をゴミ箱へと投げ入れた。
「問題だらけだよ…。困ってるのは金持ちだけじゃねぇんだ。小さな芽を摘むことのほうがよっぽど大事だとは思わないのか?それを怠るから事件に繋がる。もっと早く救えた命だってあったはずだ」
光は以前憑き物を落とした誠の友人を思い出す。悪の芽は誰も知らないところでむくむくと大きくなる。早く気づいて早急に対処すれば救えた命は沢山あったはずだ。
「そうですけど…、そんなことしてたらキリないっすよ?もっとビジネス的にやらないと…」
「…俺はこの仕事をビジネスだとは思ってない。ビジネスは店の経営だけで十分だよ」
光はそう言うと、もう一つの雑誌に手を伸ばす。
「ちょっと!あんまり荒らさないで下さいよ?ってか新刊なんでゴミ箱に捨てるのやめてもらえますか?!」
檜森が珍しく声を荒げていると、事務所の奥から一人の女が姿を現した。
「檜森君声デカすぎ!ってあれぇ、光君!来てたんだ!」
女はわざとらしく驚いた表情を見せると、嬉しそうに光の側へと近づく。
「久しぶり!、最近事務所に顔出してくれないから死んじゃったのかと思った!」
光は女の言葉にあからさまに嫌な表情を見せる。
「あんた、誰?何の用?」
「え…忘れちゃったの?ほら、何度か声かけてくれたじゃない?」
正直言ってこの手の女に光はうんざりしていた。まだ利用できる相手ならばまだしも、何の利用価値もない女に愛想を振りまくことほと無駄な時間はない。
「覚えてない…」
「ほ、ほら!この前もエレベーターの前で荷物持ってくれた…」
「悪いんだけどさ、マジで覚えてねぇから」
光のイラついた態度に、女は泣きそうになると逃げる様にしてその場を後にした。
「…ったく、なんなんだ。こっちはやりたくもない報告書の作成で苛立ってるってのに」
光の発言に檜森は苦笑する。
「先輩って、大事な人とそうでない人の線引き激しいっすよね」
「たりめぇだ。人を思いやる人数には限度ってもんがあんだよ…」
「先輩の場合、その数は限りなく少ない様に思うんでが…」
檜森は資料に目を通しながら、答える。
「…否定はしない。大事な人は少なくていい」
そんなの、沢山いてたまるか。
光は、どこか寂しそうな声でそう呟いた。