彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
車は都心から少し離れた落ち着いたエリアへと入り、やがて緑に囲まれたカフェの前でゆっくりと停まった。
テラス席の向こうには小さな水辺が広がっていて、柔らかな風と穏やかな時間が流れている。
どこか肩の力が抜けるような場所だった。
「素敵なところですね」
「この辺、少し歩けるんだよ。入る前に、ちょっとだけ散歩しない?」
自然な言い方に、頷くしかなかった。
車を降りて並んで歩き出す。
カフェの脇を抜けると、水辺に沿うように整えられた遊歩道が続いていた。
柔らかな風と、ゆったりとした空気。
人は多すぎず、でも静かすぎない。
その心地よさに、自然と歩く速度もゆっくりになる。
他愛もない会話を交わしながら歩く時間は穏やかで心地よいのに、ふとした沈黙の中に昨夜の距離が入り込んでくるたび、うまく息ができなくなる。
不意に隣の横顔に目が留まり、何気なくかけられている眼鏡に視線が引き寄せられた。
見慣れているはずなのに、今日はなぜか目が離せなかった。
そのまま見ているうちに、ふいに記憶が引っ張られる。