彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

 遠慮しないと言っておきながら、あまりに攻め過ぎて、ひよりに引かれないか気にしてしまっている自分が情けない。

 次はいつ会えるかな……。

 いつデートに誘おうか。

 そんなことを考えていると、ポケットに入れていたスマホが短く震えた。

 スマホを取り出すと、画面に表示された名前を見て、一瞬息が止まる。

 ――ひより。

 開く前から、胸の奥がわずかに騒ぐ。

 『今からお話しできませんか?』

 短い一文。

 それだけなのに、身体の奥がじわりと熱を帯びていくのがわかる。

 これから会えると思うと、急にそわそわして落ち着かない。

 ただ、会って何を言われるのかなんて、考えなくてもわかる気がして、それでも確信はしたくなくて、画面から視線を一度だけ逸らした。

 ……ほんと、往生際悪いな。
 何を今さら恐れてるんだか。

 小さく息を吐いて、指を動かした。

 『大丈夫だよ。迎えに行こうか?』

 送信してから、ハンドルに置いた手にわずかに力が入るのを感じながら、すぐに返ってきた返信を確認し、アクセルを踏んだ。
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