彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
そう言って少しだけ距離を戻すと、ひよりは一瞬迷って、それから、
「……やめなくていいです」
小さく、でもはっきりとそう言った。
その瞬間、何かが切れた。
気づけば手を伸ばしていて、頬に触れたまま顔を引き寄せる。触れる直前で一瞬だけ止まって、逃げない視線を確認してから、そのまま唇に触れた。
軽く、ほんの一瞬だけ。
それで終わるつもりだったのに、離れたあとも視線が外せない。呼吸が近くて、そのままもう一度触れたら、たぶん止まらない気がした。
触れたばかりの感触が、まだ残っている。
ほんのわずかに震える睫毛と、近すぎる距離に、意識が持っていかれる。
――やばいな。
そう思った瞬間、無理やり距離を取った。
「……今日はここまでにしとく」
自分でも思っていたより低い声が出て、ひよりは顔を赤くして、小さく頷いたーーー。
うぶで、純粋で、無防備で。
ーーーあの頃から、変わってない。