彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

 一瞬、空気が止まる。

 先生の手が、ぴたりと動きを止めた。

 「……ひより」

 さっきよりも少し低く優しい声に、心臓が大きく跳ねる。

 それでも、目は逸らさなかった。

 「明日……お休み、ですよね?」

 言いながら、自分が何を言っているのか、ちゃんとわかっている。

 顔が熱い。

 でも、もう引き返せない。

 しばらくの沈黙。

 やがて先生は、片手で顔を覆うようにして、小さく息を吐いた。

 「……君は、ほんとに……」

 困ったような、でもどこか嬉しそうな声。

 そのまま、少しだけ俯いたまま続ける。

 「俺、止まれる自信ないよ」

 さっきまでとは違う、少しだけ熱を帯びた気配に、呼吸が浅くなる。

 それでも、不思議と怖くはなかった。

 むしろ――

 「……大丈夫です」
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