彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
先生の部屋の前に着くと、先生はポケットから鍵を取り出し、流れるような動作で差し込む。
ガチャ、と解錠の音。
その音が、やけに大きく感じた。
「どうぞ」
少しだけ扉を開けて、先に入るように促される。
一瞬だけ迷ってから、小さく頷いた。
「……お邪魔します」
一歩、中へ踏み出す。
先生が靴を脱ぐのを待ってから、私も続く。
一つひとつの動作さえも、どこかぎこちない。
部屋に足を踏み入れた瞬間、思わず息をのんだ。
大きな窓の向こうに、夜景が広がっている。
高い位置から見下ろす街の明かりが、静かに瞬いていて、まるで別の世界みたいだった。
部屋の中は、余計なものがほとんどなくて、すっきりとしている。
モノトーンでまとめられたインテリアは、どこか先生らしくて。
それなのに、不思議と冷たさはなく、ほんの少しだけ温かい空気が漂っていた。
ここで、先生は過ごしているんだ。
そう思っただけで、胸の奥がきゅっとなる。
「適当に座ってて。夜は食べた?」