彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

 先生は慣れた動作で荷物を置き、キッチンへと入っていく。

 カウンター越しに、ふと目が合った。

 「まだです……先生は?」

 「俺もまだなんだ。軽く作るよ。パスタでもいい?」

 「はい……ありがとうございます」

 キッチンに立つ先生を見ているだけなのに、さっきまでの距離が嘘みたいに遠く感じる。

 「すぐできるから、座って待ってて」

 シャツをまくり、手を洗いながら微笑む先生に、小さく頷いた。

 ぎこちなくソファに腰を下ろすと、手際のいい音が耳に届く。

 何もせず座っているのも落ち着かなくて、思わず声をかけた。

 「先生は、料理されるんですね」

 また目が合う。

 「簡単なものだけだけどね。あまり期待しないで」

 はにかむように笑う先生に、胸がきゅんと鳴る。

 「楽しみにしてます」

 そう返すと、

 「緊張するなぁ」

 と、また笑っていた。

 
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