彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
「……俺、なんかした?」
その声は、いつもの軽さがなかった。
一瞬だけ迷ってから、小さく首を振る。
「……いえ。何も。
ただ……少し、距離を置きたいだけです」
その言葉を口にした瞬間、胸がぎゅっと締めつけられる。
先生は、はっきりと動揺した表情を浮かべた。
「……距離?」
「すみません、予定があるので急ぎます。お疲れ様です」
それ以上は言えなかった。
私は小さく頭を下げて、早歩きでその場を後にした。
「ッ吉岡さん」
やや焦りさえ感じるその声に、胸の奥がぎゅーっと絞められた。
背中に、先生の視線が刺さっている気がした。
それでも、振り返る勇気はなかった。