彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
瀬名先生は、私を見て少し驚いた様子。
少し前まで白衣を着ていた先生は、私服姿に、初めて見る眼鏡をかけていた。
「お疲れ様です。今日はありがとうございました」
「大変だったね。疲れたでしょ」
「はい……でも、先生が来てくださったおかげで本当に助かりました」
「惚れ直した?」
「え?」
「いや、最初から惚れてないか」
そう言って笑いながら、先生はブラックコーヒーとカフェラテを手に取った。
「奢るよ」
「えっ、いや、大丈夫です、自分で買います」
「コーヒーでも飲みながら、頑張った俺を労って欲しいなー。ちょっとでいいから」
先生はそのままスタスタとレジへ向かってしまった。
慌てて追いかけても、すでにレジへ通されていて、何も言えないまま「はいっ」と、会計済みのカフェラテを渡された。
「すみません、ありがとうございます」
「ん。じゃあ行こうか」
「え?どこに……」
「座れるとこ」
そう言われてやって来たのは、駅から少し外れたとこにある公園だった。
公園の時計は9時半を過ぎていた。
3月初めの朝はまだほんの少し肌寒いけれど、日差しが暖かくて心地良い。
ベンチに二人並んで腰を下ろす。
どこに行くんだろうとドキドキしていたけどれど、ここなら知ってる人も来なさそうだと少しホッとした。
って……
私はまた先生のペースに巻き込まれて……。
この間、最後にするって言ったばかりなのに。
そんな自分にちょっと嫌気がさした。