彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
「今日みたいな朝に、吉岡さんに会えるなんて、俺はツイてるね」
そんなことを言いながら、先生はコーヒーにストローをさした。
このあいだのことなんて、何もなかったようにいつも通りな先生。
「先生……って、眼鏡、するんですね」
なんて言っていいか分からず、話を逸らしていた。
「ああ、これ?」
そう言って先生は、眼鏡を外し手に持った。
「これさ、明けの日によく使ってるんだけど、俺の大事な物なんだよね」
眼鏡をゆっくり動かしながら、本当に大切なものを見るように優しい眼差しで眼鏡を見つめる先生。
チラッと見えた眼鏡のフレームにさりげなく入ったブランドロゴは、比較的リーズナブルなメガネショップのものだった。
「先生って、もっと高級なブランドの眼鏡を使ってそうなイメージでした」
「そう?……でもこれは、どんな高級ブランドよりも価値があるんだ。……大切な人からのプレゼントだからさ」
そう言って先生はまた眼鏡をかけた。
そんな先生を見て、なぜか胸がキュッとして、ほんの少し切なくなった。
その大切な人は、きっと女性だ。
女の勘というものなのだろうか、たぶん、いや、絶対そんな気がした。
「先生は、ずっと好きな人がいるっておっしゃってましたよね?飲み会で。その方ですか……?」
先生にあまり深入りするとよくないと思っているはずなのに、もっとその先を知りたいという気持ちがどうしても勝ってしまう。
「……うん、そうだよ」