彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 定時を過ぎ、他のドクターたちが次々と医局を出ていく。

 よし、帰るか。

 白衣を脱いで席を立ち、空き缶をゴミ箱に放り込む。荷物を持って医局を出ると、そのまま更衣室へ向かった。

 着替えを済ませ、更衣室の扉を押し開けた、その時。

 廊下の壁にもたれるように立っている男の姿が目に入った。

 「……お疲れ様です」

 声の主に視線を向けると、私服姿の重田くんが、少し不服そうに壁から背を離す。

 「おつかれ。珍しいね、俺に用?」

 軽く返しながらも、心の奥が小さく波打った。

 こんな時間に、わざわざここで待っている理由は、だいたい想像はついている。

 「少しいいですか」

 この場所で立ち話をする気はないらしい。

 ……まあ、だろうね。

 小さく肩をすくめ、俺は重田くんの後を追った。

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