彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません


 ——三年前。

 アメリカから戻ったばかりの、あの日。

 五年ぶりに見たひよりは、記憶の中の彼女よりずっと大人びていて、思わず視線を奪われた。

 胸の奥で、止まっていたはずの何かが、じわりと熱を帯びる。

 ……もしかしたら。

 俺を見たら、思い出すんじゃないか。

 いや、もう——思い出しているのかもしれない。

 そんな期待を捨てきれないまま、俺は“新しく来たドクター”として、ひよりの前に立った。

 視線が、合う。

 次の瞬間。

 「よろしくお願いします」

 業務的な一言だけを残して、ひよりはあっさりと目を逸らした。

 あのとき、胸の奥が静かに冷えていったのを、今でもはっきり覚えている。

 それでも——

 元気に働くひよりを見られること。

 医師と看護師として、短い会話を交わせること。

 それだけで十分だと、どこかで自分に言い聞かせていた。

 このまま、そばにいられればいい。

 そんな甘いことを考えていた俺は、すぐに思い知らされることになる。
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