彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません
「そのあと、柿谷先輩は大学来なくなったの」
「え?」
「噂とかあって、居づらくなったみたい。しばらくして退学したって聞いた」
そうなんだ、と小さく呟く。
怒りは湧かなかった。
ただ遠い出来事みたいに感じる。
「しばらくして瀬名先輩、海外行ったの」
そこまで言って、真由ちゃんは口を止めた。
私は顔を上げる。
でも、それ以上は続かなかった。
代わりに優しい目で私を見る。
「……ひより」
「うん」
「今、瀬名先輩のこと、どう思ってるの?」
すぐには答えられなかった。
「好き」とか、そんな簡単な言葉で片づけられない。
知らなかった過去が突然現れて、今までの全部の意味が変わってしまった気がする。
瀬名先生の優しさも。
時々見せる寂しそうな目も。
あの人が私に向ける言葉の一つ一つも。
全部。