彼と別れた瞬間、チャラいドクターからの求愛が止まりません

 「食欲ないの?」

 「え? あ、いや……はい」

 「フッ、どっち」

 思わず顔を上げると、先生は少しだけ口角を上げていた。

 その表情に胸がトクンと鳴る。

 「なにかあったの?」

 先生はチキン南蛮を口に運びながら、私に視線をよこす。

 「ちょっと、考え事をしていました。ホントは、食欲あります」

 そう返して、私もチキン南蛮を口に運んだ。

 先生のことで頭がいっぱいなんです、なんて言えるはずもない。

 美味しいのに、味わう余裕が全くない。全神経が目の前の瀬名先生に集中してしまっている。

 その時だった。

 「好き、だよね」

 もぐもぐと動かしていた口が急に止まり、息が詰まった。

 え……?

 たった二文字のワードが、今の私には強烈すぎて頭が混乱する。
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